訓練(Training)

機長とは全て自分でマネジメントする

みなさんこんばんは!

珍しく連日の投稿となります(笑)

本日ナビゲーション飛行でしたが、結果については「まぁまぁ」っていう評価に収まりました。

前回の酷評より少しは上達しているのかな?というところですが、まだまだ自分の中では納得ができていないので今日の反省点を次に活かしていこうかという感じでございます。

まだ完璧ではないのでアドバイス等はできないですが、感じたことについてはナビゲーション飛行については特に”イメトレが大事”

だと思いました。

「ヘディングは何度で高度何フィートで飛行するか、そして何をするか、どの周波数を使うか、どんなATCを行うのか」

を自分の中で考えられる状況を全て口に出し、そして頭の中でこれでもかというくらい繰り返し行う事で上空で

これをするのを忘れてた・・・

というのが無くなると思います。

私の話はここまでにしてサッカーチーム「レスター」のオーナーがヘリの墜落によって無くなる事件がありましたがその動画を拝見しました。https://www.facebook.com/HelicopterHistory/videos/327146774740429/

ヘリコプター特有のLTEという危険状態に陥って回復不可能のまま落ちて行ったようにみられます。

LTEはエンジンが高出力状態・ある方向からの風
これらの条件が重なった時起こりやすく、プロペラの回転とは逆のトルクと呼ばれる回転方向に機首が偏向し適切な処置を行わなければ回転速度はどんどん増し回復不能に陥ります。
※このトルクを打ち消すためにテールローターの推力が使われてます

また離陸に関しても垂直に上昇して離陸するマックスパフォーマンステイクオフという手法を用いており非常にエンジンパワーを使います。

そして動画を見ると上昇しながら少し後進しているようにみられますが普通であれば少し前進しながら上昇するはずです。
なぜ少し前進するのかというとヘリコプターはある一定の速度(16〜36kt)を得ると急に機体フワッと浮き揚力を大きく得られる転移揚力というものがあります。
MAXT/Oでは最低でも16ktの前進速度を出しその特性で得られた揚力も使いながら上昇します。
この転移揚力を使わずに上昇するとエンジンのパワーだけで強引に上昇する形になるのでほぼ限界に近い高出力状態になると思います。

万が一LTEに陥っても16kt以上出ていればサイクリックを前に倒し速度が増速させ揚力を得て偏向は止まり機体は安定します。

なぜ安定するのか?を簡単に書くと

ヘリコプターにも飛行機と同じように後ろ側(テール)に垂直尾翼と水平尾翼がついていて速度さえ出てしまえばテールローターの推力を必要とせずに機首は進行方向に対し真直ぐに向いてくれます。つまりテールローターはホバリング時や低速時に働いているものです。

LTEの回復方法としては
①機首の偏向を止めるため逆のペダルを踏む
②サイクリック(操縦桿)を前に倒し速度を出す
③高度に余裕があればコレクティブを下ろしエンジンのパワーを落としトルクを減らす

今回の件に関しては①と②をどれだけ素早く行えていたかで運命は変わっていたのかもしれません・・・そしてスタジアムの観客席が風を遮るような構造をしているので観客席の高さ超えたあたりで山岳派のように風が乱れていたか、LTEに陥る風向からの風により予期せぬ右偏向が発生。のどれかでしょうか。

この記事には制御不能な機体を人がいない駐車場まで移動させた”パイロットの神業”かと書かれておりパイロットを褒め称えてますが、今回の件に関しては少なからず防げた事故ではなかったのではないのかと思いましたがどうなんでしょうか・・・。

今回の件で「機長は全責任を負い・そして全て自分でマネジメントし飛行するのを忘れてはならない」と教官に言われたことを思い出しました

訓練の報告と事故に対する自論の割合が逆なんじゃないか?と思うかもしれませんがお許しください(笑)

それではまた!