訓練(Training)

事業用実地試験振り返り4

管制からタッチアンドゴーのクリアランスを得る。

許可がおりましたので①ノーマルアプローチ②スティープアプローチ&MAXパフォーマンステイクオフ③クイックストップ④オートローテーション 
タッチアンドゴー後、斜面離着陸とホバリングオートローテーションの順で科目行います。

試験官は沈黙している

先ほどと同じく返答がない。このタッチアンドゴーが少しでも悪かったらフェイルしてしまうのではないかと不安にかられる。

試験前のタッチアンドゴー訓練はスポットの真上に降りることができなかった。そして教官からの評価もまずまずだったし、

「試験の日はやるしかない!と吹っ切れ!」
と言われたことを思い出す。

気が付くとベースレグ直前。

ハッと我に帰り、

スポットクリア!コーションライトアウト!と独り言を呟いていく。

そうだ!ここまでこれてるんだし吹っ切るしかない!

ファイナルレグに乗りノーマルアプローチのパス角(見え方)を作っていく。

見え方は恐らく完璧だろう。このままスポットまで維持していくだけだ!と心の中で言い聞かせるも緊張によってサイクリックに力が入っていたせいか、細かい修正をしたつもりが普段より大きな修正になってしまう。
あまりにもサイクリックを頻繁に動かすと速度や機体の姿勢が変わりその都度修正が必要になるのでサイクリックはなるべく動かさないように意識していた。

少し違和感を感じながらも、実施細則の諸元値内に抑えスポットの真上に降りることができ少し一安心。

試験官の表情を見たかったが、見てしまうと余計に緊張するので止めた

残りの科目のスティープアプローチ、マックスパフォーマンステイクオフ、クイックストップは淡々とこなす。
そして要のオートローテーションへ。

風を考慮しつつエントリーの見え方を作る。
この日は幸いにもほぼ正対風

その為、エントリーポイントを無風の時よりも少し引っ張った。
そうしないと、風によって滑空距離が伸びないからである。


よしここだ!というタイミングでコレクティブを下げスロットルを絞る。

回転数、速度計、接地点の見え方、この3点を絶え間なくクロスチェックしていく。
この時はどれか1つでも見逃しをすると
’着地点に安全に降りれない=事故が起きる’
という意識をもちながら意地でも目標点に降りてやるという気持ちで計器を見張っていた。

結果、グライドはほぼ完璧だった。回転計もショートあるいはオーバーすることなく中立を維持し、速度計も好ましい65ktをほぼキープできていた気がする。

そろそろフレア高度に達したところで徐々にサイクリックを引いていく。

ここでサイクリックの引く量を大きくしてしまうとプロペラ回転数が上昇してしまい、回転計の赤色弧線を超える可能性がある。

赤色を超えると”耐空性を失う=安全に飛行できない”
とみなされ一発フェイルになるかもしれない。そんな事にできれば気を遣いたくないし回転数の維持するための修正操作を少なくしたい。そう思い、いつもの感覚よりも気持ちめ少なく引いた。

しかし、それが仇となりフレアした時に機体が滑らず滑空しないような感覚になり、機体の速度を落とせずそのままの勢いで地面に落ちていく感じがした。
何かいつもと違うと思い、サイクリックを更に引いて速度を落とそうとした時、試験官が先にサイクリックを握りサイクリックを引いていく。

機体が停止した場所はランディングスポット(目標点)に対し少しだけ手前だったもののほぼ完璧。でも試験官の補助があったが大丈夫なのか・・・?
自分はここでフェイルなのか?不安が現実味を帯びてきた。
数秒ではあったが何か言われるかなという不安で、機体が停止したその場所でしばらくホバリングをしていたような気がする。

しかし

じゃあ、次いって。

この言葉に救われた。そしてこの言葉で本当に何かが吹っ切れた。

多少の失敗は自分の中で許容し満点を取りに行くのはやめて70点を取りに行こう

こんな気持ちになり、フライト中に感じていた不安は完全に消えた。

次は斜面着陸ホバリングオートローテーションの科目の実演

決められた所定の位置までタキシングし科目を行う。
タキシング中に斜面着陸とホバオートの操作手順、操作感覚を頭でイメトレしていた。

所定の位置に到達し、まずは斜面着陸を行う旨を試験官に告げる。
左右どちらとも斜面着陸を行う必要があり、右か左どちらを先に実施するかは任意で決めれる。
その為、比較的やりやすい自分の席側の右側から行うことにした。
コレクティブをゆっくり下ろしながら右側のスキッドを斜面にゆっくりと接地させていく。

右側スキッド接地確認。

スキッドが地面に触れた時はその振動がサイクリックや座席に微かながら伝わってくる。

この時にサイクリックを不用意に動かすとダイナミックロールオーバーの危険性が増してくる。重要なのは遠方に捉えた目標物と機体の姿勢の見え方を一定にすることがポイントであるが、片方のスキッドがついた状態で機体を水平(レベル)にするのはとても難しく、訓練中は何度も練習したが満点の出来とは程遠いものだった。
訓練では幾度となくダイナミックロールオーバーを起こしたらどうしようという恐怖と、スキッドが片方着いた時点で機体を早く機体を地面に降ろしたいという焦りからコレクティブを急激に下げることがありその度に教官から叱責を受けた。

※ダイナミックロールオーバーとは下の動画より


ちなみに片方のスキッドが地面に着いている時に機体の姿勢が少しでも傾いた状態でコレクティブを急激に操作すると下の動画のようになる。一歩間違えたらダイナミックロールオーバーの事故に繋がってしまう。

左側のスキッドが早く地面についてほしい・・・。
そんなことを思いながらコレクティブをゆっくりゆっくり降ろしていく、そしてスキッドが地面に着く振動がサイクリックに伝わる。
よしっ、着いたぞ!

接地確認!続きましてピックアップしますと試験官に伝えたところ沈黙を続けている。
ピックアップもまた難しい。斜面側に操縦桿を充てながらコレクティブを上げていく。
操縦桿を斜面側に充てすぎるとこれもまたダイナミックロールオーバーを引き起こす可能性がある。
コレクティブを上げていくに伴い、機体がゆっくり浮いていく。
操縦桿をゆっくり動かし機体の姿勢が傾き過ぎないよう調整していたその時、
少し強めの横風が吹き機体のが煽られ姿勢が傾く。

私は慌ててコレクティブを素早く上げてしまい、無茶苦茶なピックアップをしてしまった。まさに上の動画のような感じだったと思う。

沈黙を続けていた試験官だが

何で、急激にコレクティブを操作する必要があるのか!危険だと思った時こそ急激な操作はしてはならない!丁寧に慎重に操作しなさい!

とごもっともな指摘をされた。

そこで試験官から「もう1回やってみなさいと」チャンスをいただけた。
そこからは自分の中では納得いく出来ではなかったが左右の斜面着陸を無事に終え次のホバオート(ホバリングオートロ)の科目まで進むことができた。

ホバオートもスロットルをフルクローズまでの絞る量が多すぎるとトルクが一気に無くなりブレードの回転方向に機首がブレる。ブレた機首を修正する為のペダルの踏み具合もスロットルの絞った量に応じて大きくする必要があるが、絞る量が少なすぎるとフルクローズできないまま機体が落着してしまい機体を壊してしまう危険性もある。

要するに修正をいかに減らすかはスロットルを絞る量とそれに伴うペダルを踏みこみを絶妙的に合わせる必要があり、訓練ではその感覚を磨いてきた。
2秒程で終わる実演だが、その2秒の中でいかに機体を操れるかの腕の見せ所でもある。

3、2、1、スロットルクローズ

スロットルを絞るレートが早く、機首が左に振られ、マズいと思いペダルを踏み込むも踏み込みすぎて次は機首が右に振られる。

花びらが風にゆられてゆらゆらと地面に落ちる様に、機体がその花びらのように沈んでいく。
地面に落ちた時のドスンと響くような落着はしなかったが、機首が左右に振られながら地面に落ちるのはとてもじゃないけど安全な操作ではなかったと思う。

正直、ここで試験中止(失格)を覚悟した。そして、試験官が口を開く

お手本を見せてあげる。操縦桿に手を添えて、そして感覚をしっかりと覚えといて。
いくよー。スロットルクローズ

不思議な程に全く機首がブレない。そして、あれ?今地面に着いてるの?と思うくらいスムーズな着地。
普段訓練で乗っている訳でもないのに一発で決められる卓越した操縦技術を目の前にし息をのんだまま唖然となる。そして2秒という僅かな時間のはずが、数十秒過ぎ去ったような奇妙な感覚に陥った。

よし!戻って。飯でも食うか。そして確認事項と伝えることがあれば教えてな。

次回へ続く

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